ぼっちオタクの気ままな日常

ぼっちな特撮オタクが気ままに語るブログです。

怒りに任せてアニゴジを語る 後編その1(ネタバレ注意)

どうも、ぼっちオタクです。
前編がオチへの怒りに終始してしまったので、しっかり内容と所感をまとめたいと思います。

では始めに、前日譚である外伝小説の「怪獣黙示録」
と「プロジェクトメカゴジラ」について。

あまりに内容が濃いのでざっくり纏めると、怪獣黙示録が主に怪獣やゴジラとの戦い、そして異星人との出会いが、そしてプロジェクトメカゴジラの方には人型種族がゴジラに敗北するまでの経緯が描かれています。

個人的に特筆すべき点は二つ。
アニメ版の主人公サカキ・ハルオの父、アキラ・サカキが主人公であり、ハルオの母にあたるハルカ・サカキとの出会いとアニメでは明かされなかった真実が描かれている点。
そしてもう一つは、ハルオの父が様々な人間の証言を記録するという形で、様々な人間の視点から物語が描かれている点です。

この2冊は本当に素晴らしい作品なので、是非実際に読まれる事をオススメしたいです。
凄い簡単に言うと、東宝怪獣と防衛メカの超決戦とゴジラのあまりの規格外っぷりが見れます。
ホント長くなるんで書きませんが。

・・・話を戻して、この前日譚ではまず怪獣達との戦いの歴史を克明に示し、核に頼る人類の愚かしさ、そして知恵と勇気で懸命に生き抜こうとする姿を描いています。

少し例を挙げると、まず戦術核を多用した怪獣との戦闘の影響で環境が激変。更に全世界規模の怪獣の出現で食料問題や移民問題が深刻化。
そんな中でも人類は手を取り敢えず、兵器も人員も絶望的に不足。カルト教団による集団自殺や内紛の蔓延・・・など、まさに地獄その物。

そしてギリギリまで頑張って、踏ん張って、どうにもならなくなった時、彼等はビルサルドとエクシフという異星人と出会いました。

この時の彼らへの印象も様々な人物の視点から描かれていて非常に興味深いです。

母なる星を失った2つの種族と出会い、人類は漸く手を取り合いました。そう、文字通りの地球連合を誕生させたのです。(ガンダムじゃないよ)

その裏には、一人の男の尽力がありました。彼は紛争地帯を丸腰で歩き、対話という平和的な手段で主義主張の異なる人々の意思を1つにしました。
まさに偉人、いや現代の聖人。あまりに理想の英雄たる出来すぎた人物。少なくとも、この小説を読んだ時にはそれはただの疑惑でした。

・・・ですが、この三部作を見届けた今、それははっきりと確信に、そして少しの怒りに変わりました。もはや彼のパーソナルに意味はありません。

なぜなら文字通り彼は、作られた英雄でしかなかったのですから。

・・・希望の先にある絶望の果て、地球という供物を黄金の王に捧げる為に。

まあ経緯がどうあれ、人と人は手を取り合い、異星の技術(メタ的には伝説の東宝メカ達です)を存分に駆使して怪獣達との戦いに勝利していきました。
(この描写が本当に秀逸ですので必読です)

が、奴には勝てません。そう、怪獣の王にして破壊の神。みんな大好きゴジラです。

ぶっちゃけ今回のゴジラ、強さが理不尽です。

軽く世界が滅びるレベルの核攻撃を受けて無傷。
熱線発射の余波であらゆる電子機器がダウン。
体温が無いに等しいためソナー諸々で感知できず、オマケに頭も良くて突然大都市に奇襲してくる。
ついでに同じ怪獣だろうと一切の慈悲なく葬る。

挙句の果てに妖星ゴラスや、大陸プレートでの封印をチャージ熱線で完膚なきまでに破壊する。

正直盛りすぎですね。まさにこの星の王。
こんな化け物にどう勝てと。

あ、最後の希望のメカゴジラは起動前にゴジラに狙撃されました。(一応無事でしたが)

そしてこんなチートを前に、最終的に人型種族達は地球から逃げ出す事になるのです。

・・・我ながらすごい雑ですが、小説版はこんな感じで人型種族達が地球を捨てるまでが描かれているわけです。

ですがこの外伝はそこで終わる訳ではありません。最初の方に書いたように、この物語は様々な人物の視点から、様々な物語が綴られています。

時には最初に怪獣と遭遇した男の述懐を。
時にはパイロットだった男の過ちと後悔を。
時には無垢な少女の成長を。
そして時には、ゴジラに魅入られた者達の狂気を。

その中には、怪獣らしき存在と共生する不思議な少女と共に、ガバラ(!)に立ち向かった少年の不思議な冒険譚もありました。

勘のいい方ならもうお察しでしょう。
怪獣、つまりモスラと共生する人間達、怪獣共生派(コスモス)と名乗る彼等は、後のフツアの民となる者達なのです。

彼等は元々モスラと共に生きていた原住民と、自ら怪獣と生きる事を選択した者達で構成されたコミュニティで、選ばれた人間達が新天地を求めて宇宙に旅立った後、地球に残った人間達と合流しました。

なんでもモスラは本来は2匹なのだが、片方が先に目覚めたせいでゴジラに倒されてしまい、現状の1匹のモスラではゴジラに勝てない。

だが全く希望がない訳ではなく、モスラの卵があると。その卵があれば、人類は生き残る事ができるかもしれない。今はダメでも、未来に希望を繋ぐことが出来る。だから卵を隠す為に卵の輸送と、その為の陽動に協力して欲しいと。

そう、ゴジラを倒す為ではなく、未来に希望を繋げる為に彼等は戦う事を選んだのです。

あ、ちなみにこのモスラ、様々な条件が重なったとはいえ、ゴジラと渡り合えるレベルで強かったり、この辺りでハルオ夫妻のまさかの生存が発覚したりします。

怪獣共生派の要請を受けた人類は、二つ返事で承諾します。唯一、子供達をモスラの卵と共に逃がすという人道に沿った条件の下に。

・・・なんというか、ハルオの父と母がフツアの民のルーツだと考えると、運命的なものを感じますね。

そして彼らはモスラと共に全ての兵器を伴いゴジラに向かっていきました。ただ死ぬ為ではなく、子供達が過ごす未来に希望を繋ぐために。

新たな新天地を目指し、遥かな宇宙へ旅立つ人型種族と、地球に残り、モスラと共にゴジラに最期の戦いを挑む事で子供達と卵に未来を託した人類。

このように、“ 逃げる事”と“ 怪獣と共に生きる事”という相反する人類の生き延びる道が二つ、前日譚の時点で描かれているのです。

その後の展開を考えると、この辺りは流石の構成力だなと唸らされましたね。

ちょっと長くなったのでその2に続きます。